鬼滅の刃では、家族の絆が主軸のテーマですよね。
主人公・炭治郎の窮地を救ってくれるのは、すでに死んでしまった家族です。
善逸や伊之助、柱たちも家族同然の人を失い、その悲しみを乗り越え鬼殺隊として戦っています。
そんな彼らが刀を握り戦うことになったのは、”呪い”が大きく関わってきます。
自身の保身のためだけの”呪い”、そして一族から怪物を生み出してしまった責任という名の”呪い”。
千年も続く鬼と人間の戦いは、この”呪い”によって始まりました。
ポジティブなつながりを「絆」と呼びますが・・・
その反対、ネガティブなものは「呪い」と呼ばれますね。
この記事では、鬼滅の刃のサブテーマでもある呪いについて解説していきます。
鬼舞辻はどうして鬼に呪いをかけるのか?
鬼舞辻無惨は、自分の作り出した鬼に”呪い”をかけている。
その呪いとは、鬼舞辻無惨の情報を言ったり、あるいは名前を口にするだけで、その身が滅びてしまうもの。
なぜこのような呪いをかけているのか?
その理由を2つ説明します。
鬼舞辻が呪いをかける理由①自分の情報を渡さないため
まず第一にこの理由が考えられますね。
鬼舞辻無惨は、「週刊少年ジャンプ」のラスボスらしからぬほど小物キャラです。
自分は殺されたくない、だから部下の鬼に鬼殺隊を殺すように命じて、自分は人間になりすまし隠れている。
ある意味、炭治郎や柱の面々よりも鬼舞辻無惨のほうが”生”への執着は強いのかもしれません。
また、花札風の耳飾りをつけた剣士に対してトラウマを抱えており、それが原因で鬼殺隊との接触を避けてもいます。
自分の弱点が鬼殺隊に、さらには耳飾りをつけている炭治郎に知られれば、後に危険な目にあうかもしれないので当然の行動とも思えますね。
良く言えば”慎重”、悪く言えば”臆病”と解釈できます。
私はどちらかと言えば後者だと思います。
珠世様も「鬼舞辻は臆病者」と言っていましたし、きっと作中キャラの誰もがそう思っているのではないでしょうか?
もしかしたら、ある程度知性の高い鬼にもそう思われているのかもしれませんね。
鬼舞辻が呪いをかける理由②離反されないようにするため
次に考えられる理由がこれです。
鬼舞辻無惨とは違い、呪いがかけられている一般の鬼は常に殺し合いの最前線にいます。
いつ鬼殺隊が襲ってくるかも分からない。
弱い剣士であれば問題ないのですが、相手がある程度経験を積んだ剣士であれば、日輪刀で殺されるかもしれない。
その環境に身をおいていれば、知性が高い鬼はずる賢い処世術を身に着けてしまうかもしれません。
例えば「鬼舞辻無惨の情報を渡す代わりに、自分の命は見逃してくれ」と交渉する鬼が現れるかもしれない。
鬼殺隊の最大の目的は”鬼舞辻無惨を殺すこと”なので、もしかしたら交渉成立する可能性もあります。
那田蜘蛛山で登場した”姉蜘蛛”とかは「自分さえ良ければそれでいい」と考えてしまう性悪なので、呪いがなければすかさず交渉してきそうですよね……。
鬼舞辻の呪いは解除できる…?
そんな鬱陶しい呪いを解除した鬼がいます。それが珠世と禰豆子です。
禰豆子に関しては説明がいらないと思いますので簡単にお伝えします。
禰豆子が呪いを解除したのは、おそらく炭治郎が育手・鱗滝左近次のもとで修行をしているとき。禰豆子は2年間も眠りにつくことで、人を喰わずに眠ることで回復する性質に体を変化させました。
これと同時に、呪いも解除したのではないかと考えられます。
珠代はどうやって呪いを解いた?
鬼舞辻無惨によって鬼となったが、後に人としての心を取り戻した特殊な鬼・・・それが珠世。
普段は医者として人間を助ける生活をしている。
見た目は妖艶な美しい女性で、言動も慎ましやかなため大人の色気が漂っている。
炭治郎も思わず珠世様には頬を染めてしまうシーンもありました。
彼女の知性は非常に高く、自身の体を使って鬼の性質を科学的に調べて、自力で呪いを解除しました。
また、鬼舞辻無惨にしかできない”人間を鬼に変質させる”ことも可能で、実際に病弱だった愈史郎を本人の許可を得た上で鬼へと変えました。
産屋敷一族が背負った呪い
鬼が鬼舞辻無惨によって能動的に呪いをかけられるのに対して、産屋敷への呪いは受動的に呪いを受けています。
なぜなら、産屋敷家で生まれる子供はみな病により短命だからです。
鬼殺隊の責任者にして、柱たちに”お館様”と呼ばれ慕われている産屋敷輝哉もその例外ではありません。
顔の半分は紫色にただれたような跡があり、両目に黒目がなく、常に子供2人を連れていることから盲目だと伺えます。
柱の回想では、まだ両目に黒目がある状態で登場していたため・・・どんどん病が進行してしまっているんでしょう。
30歳まで生きられない
そもそも鬼舞辻無惨も、もとをただせば産屋敷一族の1人でした。
産屋敷家は怪物を生み出してしまったために、呪いを受けてしまったということになります。
生まれてくる子供がみな病弱だったせいで、一度一族が絶えそうに。
その時、神主から助言を受けた「鬼舞辻無惨を倒すために心血を注ぎなさい… そうすれば一族は絶えない」と。
代々神職の一族から妻をもらい、子供は死に辛くなったが・・・それでも、産屋敷家は30年と生きられない。
無惨を生み出した罪(責任)
産屋敷家の呪いは、鬼舞辻無惨という怪物を生み出してしまった罪であり、責任だとも思っています。
鬼舞辻無惨によって千年間に多くの人間が死んだ、多くの人間が悲しんだ。
また、辛い思いをしているのは人間だけではなく鬼も同様です。
炭治郎の言葉を借りるなら、鬼は”虚しく悲しい生き物”。
鬼となったことに苦しみ、自らの行いを悔いている。
人を不幸にしてきた代償として、奪った人生を背負わされているように感じます。
だから産屋敷家は代々短命なのでしょう。・・・それだけ多くの人の命を奪ってしまったのだから。
まとめ
鬼にかけられた呪い。
産屋敷家の呪い。
この呪いの元凶は鬼舞辻無惨です。
炭治郎やねずこ、柱などの鬼殺隊の剣士も、鬼舞辻無惨によって幸せを奪われました。
彼らは・・・・代々続くその戦いに巻き込まれた被害者といって過言ではないでしょう。
そしてそれもまた、ある意味、鬼舞辻無惨の呪いなのかもしれない……。
その呪いを炭治郎たちの世代で終わらせてくれることを祈るばかりです。