鬼滅の刃と言えば、シリアスな世界観とテンポの速いストーリー構成も人気ですが、何よりも個性溢れる魅力的な登場人物たちが人気ですよね。
読者さんそれぞれに、推しキャラがいることでしょう。
今回は、物語の序盤に登場していながら、根強い人気を誇る、錆兎(さびと)と真菰(まこも)という2人の登場人物について、
- 彼らの正体は?
- 冨岡義勇さんとの関係は?
- 彼らが炭治郎に指導した理由とは?
以上に注目して、私なりにまとめてみました。
錆兎(さびと)・・・狐の面の少年
鱗滝さんに課された最後の試練は、大岩を斬ること。
全くコツが掴めないまま半年が経過した頃、焦る炭治郎の前に狐の面を着けた少年が現れます。
この少年が、錆兎でした。
炭治郎と同じくらいの年頃ですね。宍色という珍しい色の髪、お面をしているのでわかりにくいですが、頬から口元にかけて大きな傷のある少年です。そして、優しそうな顔をした少年でもあります。お面に隠れているので、分かりにくいですがね。
獣の様に軽い身のこなし。鱗滝さんのもとで相当な鍛錬を積んでいるのでしょうね。
真剣を持っている炭治郎を、木刀で簡単に打ち負かしてしまう程の、優れた剣技の持ち主です。
「進め!男なら!男に生まれたなら進む以外の道などない!」
と云う彼の言葉の示す通り、強い信念を持ち、男気に溢れています。
真菰(まこも)・・・狐の面の少女
そして、錆兎と同じく炭治郎の前に現れた狐の面を着けた少女が、真菰でした。
年齢は炭治郎と同じくらいでしょうか。短い前髪のせいか、もう少し幼く見えますね。
花柄の着物を着た、穏やかな笑顔の少女です。ほんわかした雰囲気を纏っています。
「大丈夫。わたしが見ていてあげるから」
思わず、炭治郎が可愛らしいと思ってしまうほど、可憐な雰囲気の真菰。
炭治郎の戦い方の悪いクセを指摘してくれたり、全集中の呼吸の仕組みを説明したりしてくれます。
錆兎の様に実際に手合わせする訳ではありませんが、頑張る炭治郎を見守っていてくれます。
錆兎と真菰の関係
同じくらいの年頃の2人でしたので私も読んでいて始めのうちは兄妹か何かだろうと思っていたのですが、そうでは無いみたいですね。
真菰によれば、2人は兄妹では無く、いずれも鱗滝さんに拾われた孤児でした。
元水柱の鱗滝さんが指導していたと云うことは、錆兎も真菰も、炭治郎にとっては兄弟子ということになりますね。
そしてまた、炭治郎と同じく、身内を鬼に奪われた悲しい過去を持つのでしょう。
炭治郎と変わらない年頃に見える錆兎の男気も、可憐な見た目ながら的確な指摘が出来る真菰も、鬼を滅するという強い信念から来ているのだと思いました。
そんな兄弟子たち錆兎との手合わせと、真菰の指摘を受けて、全集中の呼吸と、鱗滝さんの修行の全てを骨身に叩き込む炭治郎。
半年を経て、ようやく錆兎に勝ち、大岩を斬ることができました。
この錆兎との最終対決に臨む際の、炭治郎の顔付きが、見違える程に勇ましくなっていたのは、読んでいてドキッとしましたね。
かくして、狐の面の少年少女の指導のお陰で、炭治郎は最終選別に挑むことを許されるのでした。
錆兎と真菰の正体
炭治郎は最終選別の最中、信じられない事実を知ります。
錆兎と真菰は、既に故人でした。
鱗滝さんが想いを籠めて彫ってくれた狐の面、厄除の面と呼ばれるそれを身に着けて最終選別に挑む炭治郎。手には、鱗滝さんから借りたと思われる日輪刀が握られています。
最終選別の会場は、藤襲山と言う一年中藤の花が咲いている山でした。
参考記事…鬼滅の刃/あの山の名前なに?実はみんな〇〇〇かもって知ってる?
鬼は藤の花を嫌うそうで、藤だらけのこの山は天然の牢獄の様になっていたんですね。
そこに、鬼殺隊が生け捕りにした弱い鬼が放たれており、この中で7日間生き延びられた者が合格、というのが最終選別の内容でした。
鬼と藤の花、これも色々と考える余地がありそうですよね。
手鬼が憎い!
さて、最終選別が始まると、間もなく現れる鬼たち。全集中・水の呼吸を使い、鬼の首を刎ねる炭治郎。
鍛錬は無駄では無かったと実感します。同時に、日輪刀で斬られた鬼は跡形もなく消えてしまうことも実感します。
そこに現れたのが、本来この山には居ない筈の異形の鬼でした。
無数に生えた手が特徴的な、通称・手鬼ですね。
「俺が喰った鱗滝の弟子の数だよ
アイツの弟子はみんな殺してやるって決めてるんだ」
この手鬼は、かつて隊士だった頃の鱗滝さんに捕らわれて藤襲山に連れて来られました。そのことを根に持ち、厄除の面を着けた鱗滝さんの弟子たちを襲っていたのです。
厳しい手合わせをしてくれた錆兎も、悪い点を指摘してくれた真菰も、この手鬼に殺されていたのでした。
幽霊でありながら炭治郎を鍛えた?
思えば、初めて錆兎に対峙した時に、炭治郎は「においがしなかった」と独白していますし、最終選別に向かう炭治郎を見送る鱗滝さんが
「なぜお前が死んだあの子達の名前を知っている?」
と訝しむシーンもありましたね。
この場面で初めて炭治郎は、その事実を知る訳です。
呼吸が乱れて、鬼に投げ飛ばされてしまう炭治郎でしたが、全集中の呼吸を使うことに成功し、見事、鬼の首を刎ねました。
この手鬼の告白で明らかになった事実は、読んでいて辛かったですね。
鱗滝さんの弟子たちを思う気持ちが裏目に出ているというのも、鱗滝さんの気持ちが分かるだけに辛いですね。
狐の面を掘ったのは無事を願っての行為だったのに、そのお面が反対に彼らを死に追いやる結果につながっていたのですから、あんまりです。
錆兎と真菰の最期も、なかなか凄絶で文字に起こすのが躊躇われるほどなのですが、気になる方は、是非、コミック1巻をお読みになってみて下さい。
錆兎と冨岡義勇の関係
異形の鬼を倒し、最終選別を突破した炭治郎は、鬼殺隊の隊士として、また妹を救う兄として、鬼と戦う日々を過ごします。
炭治郎が鬼殺隊に入る切っ掛けとして鱗滝さんを紹介してくれた冨岡義勇、厳しい修行を課してくれた鱗滝さん、そして故人ながら指導をしてくれた錆兎と真菰。
彼等のお陰で炭治郎の物語は始まってゆくのですが、何故、錆兎と真菰は炭治郎を指導してくれたのでしょうか。
話は1度、コミック15巻まで跳びます。
一般隊士の強化と柱の痣発現の鍛錬を描く柱稽古編。
ここでは、柱・冨岡義勇の過去が描かれます。
「俺は水柱じゃない」
実は、錆兎と義勇さんは鱗滝さんの元で修行をしていた同期であり、一緒に最終選別に挑んでいました。しかしながら、その選別は、義勇さんだけでなく同期全員を鬼から助けながら戦った錆兎だけが命を落とすという、壮絶なものでした。
助けられただけの自分が柱を名乗る訳にはいかない。
義勇さんと他の柱達の間に、距離が感じられていたのは、この一件が影響していたんですね。
よく見れば、義勇さんの羽織は錆兎の着物と同じ模様ですし、忘れたいけれど忘れてはいけない、辛く悲しく腹立たしくどうにも出来ない思いを抱いたまま、生きてきた義勇さんが悲しく思えました。
炭治郎の言葉に、錆兎との約束を思い出した義勇さんは、稽古を付けてくれることになります。
錆兎と真菰が現れた理由
改めまして、なぜ錆兎と真菰が炭治郎を指導してくれたのか。
そもそも炭治郎を鱗滝さんに紹介してくれたのは義勇さんでしたね。
錆兎と義勇さん達の代以後、鱗滝さんの元で修行を積んだ者が居たのかは作中では言及されていません。ですが、義勇さんの最終選別前後での変わり様から見るに、長いこと修行はしていなかったのでは無いでしょうか。
そこへ久し振りに、それも義勇さんの紹介で現れたのが炭治郎だったのだと思います。しかも鬼の妹を連れて、です。
錆兎と真菰が炭治郎の状況を把握していたかは定かではありませんが、真菰が言っていましたよね。
「子どもたちは他にもまだいるんだよ いつも炭治郎を見ているよ」
この子どもたちと言うのは、最終選別で命を落とした子どもたちの事ですよね。
そして、
「わたしたち鱗滝さんが大好きなんだ」
とも言っていましたよね。
わたしたちとは、錆兎と真菰だけでなく、姿を現せないものの、鱗滝さんの元で修行をしてきた仲間たちを指していますよね。
炭治郎を指導した理由
故人でありながら、炭治郎を指導した理由。
鱗滝さんの元で修行してきた仲間たちの仇を討って欲しかったから。
同時に、大好きな鱗滝さんを悲しませたく無かったから。
恐らく、これらが理由だと考えています。
錆兎や真菰の願いは叶い、炭治郎は異形の鬼を倒し、みんなの仇を討てました。
帰りを出迎えてくれた鱗滝さんは涙を流していましたが、錆兎や真菰を失った時とは違う、無事に帰ってきてくれたという安堵の涙でした。
魂だけになっても、大好きな鱗滝さんの元へ帰った様ですね。
この場面以後、錆兎も真菰も登場していませんが、願いが叶い未練がなくなったので成仏出来た、と考えています。
或いは、三途の川の向こうで誰かを待っているのかも知れませんね。
まとめ
炭治郎の前に現れた、錆兎と真菰は、
- 最終戦別で命を落とした、鱗滝さんの弟子たちだった。
- 錆兎は義勇さんの親友であり命の恩人でもあった。
- 大好きな鱗滝さんを悲しませない為に、炭治郎の前に現れた。
- 炭治郎が最終選別を突破したことで、鱗滝さんの元に帰れた。
こんなところでしょうか。
錆兎と真菰について、改めてコミックを読み返したり調べたりしながら書いてみましたが、登場しなくなってからも、二人が人気の理由が分かった気がします。
長文でしたが、最後までお読み頂き、有難うございました。