アニメ「鬼滅の刃」は、見た人からすごい反響でしたよね。
漫画をずっと読んでいた人は勿論、予備知識がない状態からアニメに入った人も、夢中になったのではないでしょうか?
実は、私もその1人でして……。
私はアニメから見た人間で、もう毎晩録画予約して何度も見直す……ということを放送期間中は繰り返していました(笑)。
しかし、何故「鬼滅の刃」は、そこまでの影響を見せたのでしょうか?
考えよう!と思わないと、なかなかすぐに複数の理由は思いつかないですよね。
私自身もそうだったのですが……
今回、アニメ「鬼滅の刃」を再度見直し、じっくりとその流行った理由について考察してみました!
「自分は違う理由を考えていたけど、確かにそれも理由の1つだな」
と新たな発見があったり、
「なるほどな!」「自分もそう思っていた!」
と感じていただけたりすると嬉しいです。
鬼滅の刃が流行った理由①炭治郎のキャラクター性と世界観のマッチの良さ
世の中にはたくさんの漫画やアニメがありますが、どんな作品においても、1つ、言えることがあります。
それは、その世界には多種多様なキャラクターがいるということ。
優しい人、怒りっぽい人、よく落ち込む人、元気が取り柄の人……。
どんな作品も、全て1つの特徴でのみ語られるキャラクターばかりが登場しているわけではないのです。
けれど、そんな共通の特徴をもつ作品たちの世界が、みな似通っていないのは何故でしょうか?
理由は幾つかあると思いますが、その最たるものが、“世界観の違い”と、“誰の視点で話が進んでいくのか”なのだと思います。
“さまざまな人たちが暮らしている”ということが共通していても、
- 戦争ばかりの世界にいるのか、
- ほのぼのした平和な世界に暮らしているのか、
- システムに支配されたディストピアなのか……。
それによって、だいぶ話は変わってきますよね。
誰の視点で話が進んでいくか……
すなわち、誰が主人公であるのか、ということに関しても、同じことが言えます。
大航海時代を描く作品に、自由で明るく、仲間の為ならどんな強大な敵にも立ち向かう少年が主人公であれば、
違う人が主人公である場合よりも、人々が“航海”することに抱いていた希望がさらにキラキラと輝きますよね。
また、違法な取引や犯罪、薬の売買が当然のように行われるギャングの世界に、
黄金の輝きを持つ夢を抱く少年が、ギャングスターになるために駆け上がっていく姿は、
どんな読者・視聴者も重く暗い世界に一筋の希望の光をみるでしょう。
「鬼滅の刃」にも、同じような現象が起きているのだと思います。
無惨の力でどんどんと数を増やし、人を食うことで力をつけていく鬼たち――悲しい過去や苦痛があるが、人に戻すすべはない。
鬼を狩る鬼殺隊は、誰もが死に何度も直面し、血を流し、怪我をしながら、
鬼への憎しみや大切な人を失った悲しみ、怒りを身体の奥底にため込んでいる……。
そんな世界に生きる炭治郎。
家族を何よりも大切にし、努力を重ね、鬼になった妹を助けようとする。
鬼殺隊の任務につき、鬼の被害に遭い傷つき辛い中にいる町や村の人や,
他の隊員の気持ちに寄り添い・受け止めながら、鬼の悲しい性に涙を流し、そして、「生まれ変わった時は……」と祈る。
その姿は、暗く重く血にまみれる世界において・・・
月のような、朝日のような光を放ち、読者や視聴者に希望を与える……
そんな存在に炭治郎はなっているのではないでしょうか。
鬼滅の刃が流行った理由②悲喜の絶妙なバランス
どんな世界にも、楽しいこと、嬉しいこと、幸せに思うこと……そんな気持ちばかりがあふれている訳ではありません。
ほのぼのした世界でも、誰かと喧嘩したり、ちょっとした失敗で気持ちが沈むようなことはあります。
紛争や人殺しが続く世界ではなおさらです。
犯罪の被害に遭ったり、大切な人を失ったり、自分の生きる意味さえ奪われることだってあり得ます。
けれど、悲しさ・辛さばかりがあふれる作品は、見ている人はずっと辛いですよね。
例え悲しさや辛さにあふれ、「人が生き返る」といったような奇跡はおきないような世界であっても。
嬉しいことがある、楽しいことがある、救いがある……
それを漫画やアニメで目にし、追体験することができれば、
「ああよかった!」と感じ、
「また続きがみたいな!」
と思えるのではないでしょうか。
「鬼滅の刃」では、人が死に、鬼が死に、それぞれが悲しさ、辛さ、怒りを背負っていますが……。
善逸「うぎゃー!!幸せー!!うおー!!幸せー!!」
愈史郎「珠世様は今日も美しい!きっと明日も美しいぞ!」
伊之助「(夕食はてんぷらと言われて)ほわほわ…」
暗い話ばかりではないですよね。
この悲喜こもごも、陰陽のバランスが絶妙なのがこの作品の醍醐味なのだと思います。
鬼滅の刃が流行った理由③漫画の持つパワーを更に増幅させたアニメ化
漫画が素晴らしくとも、アニメではなかなかそれが伝わってこない……そういうことって、結構ありますよね。
けれど「鬼滅の刃」は、漫画のすばらしさを更に増幅させる形で、アニメ化ができたのではないでしょうか?
「声がぴったり」ということは勿論のこと、
山や街並み、
藤の花の美しさ、
技の演出、
話しの進め方や緩急の付け方、
第19話で流れた「竈門炭治郎のうた」などなど……。
映像の美しさに関しては「さすがのufotable!」という感じですが、
このアニメ化の成功は、元々が素晴らしい作品であったことに加え、
世界観やストーリー、キャラクター性を十分に理解してアニメを作っていった方々全員のすごさがあったからこそだと思います。
鬼滅の刃が流行った理由・まとめ
それでは最後に、今回、これは「鬼滅の刃」が流行った理由だ!といえる3つを振り返ります。
- 炭治郎のキャラクター性と世界観のマッチの良さ
- 悲喜の絶妙なバランス
- 漫画の持つパワーを更に増幅させたアニメ化
まとめると、
非常にシリアスなストーリーながら、絶望に負けずに明るく輝く魅力的なキャラクターたち、
そしてそれら原作の良いところをしっかり理解したスタッフによる、超高品質なアニメ化。
そりゃ大爆発しますよね。
まだまだ広がりを見せる「鬼滅の刃」の世界。これからどんな姿を見せてくれるのでしょうか?
そしてこれは蛇足ですが…
なんとなく、鬼滅の刃のストーリーって、絶望感マシマシなのが現代日本と同じだと思いませんか?
- 少子高齢化で先細りの日本で、長生きしまくりの老人たちが鬼のように若者に世話を要求する【当然だった常識(社会保障)の破綻】
- 諸外国との圧倒的な経済力の差、出口のみえない不況【希望の光が見えない絶望感】
- 暴力と没人間性がまん延する社会の中で、ひとの幸せを守る戦い【現代人各個に突き詰められるテーマ】
- それらの闇を切り開く若い力…しかも公には認められていない【大組織や団体ではなく、小組織・個人の時代に】
などなど…
うまく言葉にできませんが、この作品は現代日本の世相を反映していることも人気大爆発の要因と結論づけます。